金沢・新おもてなし考

金沢・新おもてなし考

日本人は本当の日本や日本人の良さを理解しているでしょうか?

金沢の街で日本文化を外国の人にちゃんと理解してもらうため、話し合いましょう!

◆coming soon◆

次回開催は、3月3日(水)午後2時からです


◆「スキン」を替えてみました。

記事のアップが遅れていますが、しばらくお待ち下さい。



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◆写真は12月のおもてなし考より。



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第42回 国際ポットラックサロン「新おもてなし考」 2009年7月1日(水)

 ―日本人はなぜ「さようなら」といって別れるかー  





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写真 竹内整一著(ちくま新書版)


「さようなら」というのは、もともとは「そうであるならば」という接続詞なのですね。
  




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写真 「左葉子通信」

(左葉子通信は金沢ふるさと偉人館 で配布されています)

この本の書評を目にしたメンバーのひとりが左様ならば、と「左葉子(さようし)こと「金沢ふるさと偉人館」館長の松田章一さんに、コピーを差上げたところ、早速お読みになられた松田先生の感想が、たいへんな絶賛ぶり。



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それならばと、この本を今月の「新おもてなし考」で取り上げました。



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この本に何度か出てくる「つれづれ」とは、鈴木大拙の言う「自由とは、この大宇宙からの絶対自立である」という概念があるのではないか(Aさん)

「さよなら」という言葉を新たな観点で私たちに投げかけてくれた。
それは別れの言葉だけではなく、死生観や魂の根元のありように著者は気づかせてくれた(Bさん)



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写真 東京からの参加者

「なんと分りにくい本なんだ」「引用ばかりが多くて」という多数意見もありましたが・・・
「さよなら」が今までの事の終りから、自分が新しいことに立ち向かうのだという心構えがこの言葉にこめられている、という感想に同意する意見が続きました。

例え話に、なんの合図もなく到着し発車するヨーロッパの鉄道には「けじめ」がないと感じる日本人旅行者もいるそうです。

その理由も幾つか意見が出ました。


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詩人 寺本まち子さんによる自作の詩「弟とくらげ」の朗読がありました。
この詩は「さようなら」をモチーフにしています。
心に沁みました。


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鉄道沿線の風景から、美意識について発展したところで鬼瓦の制作に携わっておられる森山さんから、興味深い話のサワリだけを伺いました。



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写真 8月の講師:鬼師 森山茂笑さん


終わってみれば、さすがと思わせられたのは松田先生の学識でした。

引用・参考文献をことごとく読んでおられるのでしょうね。



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写真 氷室まんじゅう

折しも「氷室の日」、三種類の氷室まんじゅうが揃いました。金沢のならわしです。 
  

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きょうのサロンは、ある参加者によれば「知を浴びた思い」だったそうで、主宰者としては嬉しい限りです。

(文責:中島)




第41回 国際ポットラックサロン「新おもてなし考」 2009/6/3

「周章狼狽(?)の25年」


―レオナルド研究の集大成 ついに完成―



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語り手:向川 惣一 レオナルド・ダ・ヴィンチ研究家




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「私の論文が、序章から始まって終章まで周章狼狽するわけですが、なぜ25年もかかったか」というのが今日のテーマです。

向川さんは、昨年の6月に石川国際交流サロンで論文展を開催されています。

あなたにパンダフルライフを 」より…当該記事にリンクしています。

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仰向けに寝ると、まさにぴったりサイズ。
レオナルド研究は宿命だったのでしょうか・・・


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古代ローマの人、ヴィトルヴィウスの人体権衡図は、人体のバランスもしくはプロポーションを考えた図です。


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この人体を囲む複数の円と正方形を幾何学的に解析することで、レオナルドが黄金比の等比数列を第4項まで解明していたことを確定しました。

※「おもてなし考・2007年7月」


多くの手稿を残したレオナルド・ダ・ヴィンチですが、世界中の研究家の考えが誤りであったことを向川さんは幾つも明らかにしました。

ジグソーの最後のピースがきちっと嵌るように、この研究が膨大な資料の突合せ、それも論理的幾何学的な解析からなされたことが納得できました。

東京藝大時代の恩師・三木成夫先生※の一言が、25年ものあいだ投げ出すこともなく、レオナルドと歩むことが出来た幸福を語ってくださいました。

※ 「おもてなし考・2008年2月

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※「おもてなし考・2007年3月 」に「最後の晩餐」の室内空間の話を伺いました。


※「おもてなし考・2008年の6月」には研究全般について伺いました。

その時点では最後のピースが見つかってはいませんでした。
膨大な研究内容が論文として形になるかどうか「老人と海」さながら、港へたどり着けるだろうかと・・という日々だったそうです。

この論文集が英訳されて世界のレオナルド研究家の目に触れる日が一日も早くやってくることを願うばかりです。(文責:中島)

第40回 国際ポットラックサロン「新おもてなし考」

                  2009年4月1日(水)

押し花がビジネスに


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語り手 柴田 君子 さん

 押し花作家こどもの頃に誰もが一度はためしてみた「押し花」は、やがて色あせて失意のうちにくずかごへ・・・・
ところが、真冬でも色あざやかな世界があるのです。

「あなたにパンダフルライフを」より

この道10数年、北國アマ美展に初出品で「北國賞」を受賞、以来つぎつぎと受賞作を生み出しておられる柴田君子さんから「押し花」について伺いました。


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何よりも不思議なのは、いつまでも色あせない押し花の秘密です。
それは、シリカゲルを液状にして滲み込ませたクッション紙にありました。


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この紙に花や葉を挟んで空気を遮断、重石をかけて短時間のうちに水分をとりのぞくといつまでも褪色しないというのです。
(女性陣からえ~っ、退色しない?などの声があがりました)

重石の重量や、乾燥のための時間などは素材によって様々です。
テキストにはすべて詳述されていました。押し花って科学の世界なんですね。

「珪酸を部分脱水したガラス状の透明な固体(広辞苑)」であるシリカゲルを液状化するというこの発想こそがすばらしい!


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いわゆる趣味の世界で特許をとり、いまなお商品を多く売り続けている例は珍しいことだそうです。
(考案者:杉野俊之 ㈱スギノ技研)

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押し花になった完成品を買って作品をつくることも出来ますが、柴田さんは、ご自分で庭や野山へ出かけて「拾って」きた素材を、このクッション紙をさまざまに利用して、大作をものしておられます。


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「拾う」作業は、まるで「乞食みたい」と笑う柴田さんですが、絵の世界とは全く無縁だったそうですから、どなたにでも柴田さんのような素晴らしい作品をつくりだすことは可能かもしれませんよ。

(文責:中島)
第39回 国際ポットラックサロン「新おもてなし考」

                     2009年3月4日(水)晴  

 「アフリカの真珠」ウガンダはこんな国  

~大きな存在?父親とGreat Britain~   

語り手 ムティアバ・ジョフリーさん  石川高専留学生


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写真 ジョフさん

この4月から大阪大学で、環境工学をさらに学ぶご予定のジョフさんからアフリカの真珠と呼ばれるウガンダについて伺いました。


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写真 ナイル川の源流

ウガンダはナイル川の源流の国でした。赤道直下でも標高が高く1年中が春の陽気。
豊富な果物はほとんどが英国へ輸出されているそうです。


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英国をはじめ外国から訪れる観光客に人気の観光スポットは「赤道」。
そして結婚の申込みに必須!というアチョリ族のダンスです。


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写真 アチョリ族の青年によるダンス

ダンスが苦手というジョフさんですが、帰国すればお父さんが花嫁候補者を見つけてくださるので、苦手でも構わないそうです。


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写真 プロポーズの言葉は英語ですか?と聞かれて照れるジョフさん

公用語は英語と聞いて一瞬エッ?あぁ、やはりと旧宗主国グレイト・ブリテンの存在をつよく感じました。
暮らしぶりについても伺いました。

一般的な住宅は、コンクリート製平屋建ての立派なものです。


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写真 何人家族でしょうか

伝統的な家は日本の数奇屋づくりにそっくりです。
竹と粘土、紐を用いるところは小舞壁とまったくおなじです。


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金はなし、さりとて頭も・・・という「貧しいひとたち」の場合は、この程度の家。
小さな蟻や他の虫で命を落とす危険性もあるそうです。



「貧しいひとたち」とは?「お酒のみのひとです」という答えでした。
元々は父親のすすめで医学部に学んでいましたが、隣国タンザニアに滞在中、ニュースで本国の医者たちの給料要求の動きその他を知り、ご自分の将来に「これはヤバイ」と父親を説得して好きな工学に変更しました。

子供の頃からの夢だった、トンネルや橋を造りたいと留学先に選んだのがその技術では世界一の日本でした。
(たまたま日本政府の留学生募集を知り来日しました。石川高専へは、日本政府による割り振りで、ご本人の意思とは関係ありません。)

「ウガンダの問題は、まさに交通にあります」との言葉に、かつてアジアの貧しい国が、年間の国家予算の半分を併合先に注ぎ込み、インフラ整備をしたことを思ってしまいました。


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アメリカ・タフツ大学からの聴講生ホイットニー・ウォーカー・ジャイルズさん(金沢大学)も参加されました。



4歳から10歳まで日本に暮らし、小学校も日本の学校に通ったホイッちゃんは外国からの留学生に日本文化も解説する日米語のバイリンガルです。


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夢は「旅行家」。将来は日本に住み、子どもが学校から帰ったら「おかえりなさい」と迎える、そんな母親になりたい、と参加者に一種の感銘を与えました。

ジョフさん、ホイッちゃんご両人の来日時、あるいは帰国時にひとしく違和感を持ったのは我が国の教育スタイルだったそうです。暗記式と討論形式の違いのようです。  
   
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父親の存在が大きいウガンダの若い男性と、母親の存在の大きさを感じさせたアメリカの若い女性と、どちらも本当にいい子はしっかりとした家庭からと思わせました。(文責:中島)



第38回 国際ポットラックサロン「新おもてなし考」
                 2009年2月4日(水)晴   

越前と若狭の正月  ~神仏への荘厳と儀礼~

語り手 吉川 弘明 さん

金沢には珍しく晴れ上がった立春の日、年始のあいさつから始まりました。


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正月といえば、この方。
民間習俗を映像に記録し続けておられる吉川さんにご登場いただきました。
越前からは福井市国山町、若狭からは小浜市犬熊(いのくま)の正月の神事(ジンジ)を紹介して頂きました。


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写真 映像に見入るきょうの参加者たち

神事をジンジと呼び習わす行事があることは前回うかがいましたが、本職の神官はジンジには係わらない、ということの意味の重さを今回も感じました。

注:ごくわずかの例外はあるそうです


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写真 拝殿の天井をシバの木で埋め尽くす

戸数が13戸の犬熊では、早朝から執り行われるお宮での神事(ジンジ)のあと、ひきつづき集落内の12ヶ所(16神仏)の宮まいりが行われます。


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普段は都会に住む若いひとたちも、当たり前のように小雪のなかを粛々と(音声がなかったせい?)最後の阿弥陀堂まで歩きます。


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国山町(戸数20戸)では、4年後の神事にむけて月に2回「田遊び」の練習日を設けています。
吉川さんは何度も足を運ぶうちに、古式ゆかしい「田遊び」が、とても真剣な稽古を繰り返して伝承されていることに気づいたそうです。


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能や狂言の、謡や小謡の原形は、このようなものかもしれないと思わせます。
人口が減少するなか、また暮らしが変化するなかで、月に2回の神事の練習を続けておられる集落の人々の心の在りようを思いました。

吉川さんはジンジ(神事)という呼称が、集落の自治意識と深く結びついている呼び方であることを指摘しています。
それは祇園祭が中世の京都の町衆の自治権の象徴であったように、小さな集落の自治権の象徴がジンジ(神事)であったろうと補足されています。


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写真 初めての棒ふりをつとめる若者


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タイトルが入る写真 餅つきの風景

都市部での商業ベースに乗った正月風景とは違う、日本人に古くからある神仏への、荘厳(しょうごん)の心と、儀礼にあらわされる型との一体感を意識したひとときでした。


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写真1 犬熊の例 


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写真 2 白扇を、手をひろげてあおっている朽木村麻生の例 

写真3 白扇を手に犬熊と同様のポーズ


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それにしても、このような貴重な映像が一般の目に触れることがないのは残念です(サロンのメンバーには幸いなことでしたが)。

(文責:中島)