幻の天守閣を思い浮かべて
―金沢「三階御櫓」の復元画をお披露目ー
以前に、このサロンでお話しいただいた末松 智さんの、その後を紹介します。
金沢城・菱櫓の復元、築城のきっかけを作った末松さんは、その後も精力的に城内各所の復元画の作成に取り組んでいらっしゃいます。
それらの作品を石川国際交流サロンで展示、ギャラリートークで城への思いを語ってくださいました。
写真 トークを楽しむ皆さん
ウィーン留学中に訪ねた数々の古城や石垣に、ますますそれらへの関心は強まっていきました。
加賀藩は、初期に焼失した天守閣の代用として三階御櫓を築きましたが、それも宝暦の大火で失いました。が、遺構が金沢城調査研究所によって確認されています。昭和44年にも金沢大学の調査隊によって発掘されています。
写真 金大による調査風景
今回の復元画はそれらの資料が大きな支えになっています。もちろん残っていた絵図の存在に助けられたことは言うまでもありません。
写真 三階御櫓復元画
苦心は、現存しない石垣の上に三層の櫓を築くことでした。先の調査の際に出土した根石の大きさを手がかりに、絵筆よりも計算機を手にする毎日でした。それは祈りにも似た日々だったそうです。
夜を徹して描いたという三階御櫓は、菱櫓より高いなまこ壁に、白い鉛の屋根
を、波うつ軒先の銅と、四方の隅柱の鉄の黒さが引き締める、なんとも優美な姿です。
小さいけれど凝った造りの御櫓に、桜の古木を手前にあしらった美しい作品です。末松さんの思いの程がしのばれます。
26回ポットラックサロンにお越しいただいた県立歴史博物館の濱岡伸也さんは同世代。末松さんにとって大切な先達のお一人です。
ひとこと
―末松さんにとって金沢城とは? 「美人ですね」